ボディメカニクスを現場で使えない介護職へ|体軸から変える方法 | 体軸の教室

ボディメカニクスを現場で使えない介護職へ|体軸から変える方法

介護で使える

ボディメカニクスを研修で習ったのに、実際の介護現場では使えていない。

膝を曲げる。相手に近づく。体重移動を使う。腰をひねらない。理論は分かっていても、忙しい介助の最中に一つずつ思い出して動くのは簡単ではありません。

相手の体格や体の状態、ベッドの高さ、車椅子の位置、周囲の広さも毎回違います。教科書どおりの体勢を作れない場面もあります。

研修で習ったことはあるけれど、現場で使いこなせずにいる介護職の方へ、先に体軸を作っておくという方法を紹介します。

研修で習っても、現場では使えない

体験会に参加した介護職の方から、ボディメカニクスについて次のような話を聞きました。

  • 研修では習ったけれど、実際の現場では使えていない
  • 内容を覚えきれず、介助のときに思い出せない
  • 相手の状態や体格が毎回違い、どう使えばよいか分からない
  • 教わった姿勢を作れない体勢や、体勢を整えている余裕がない場面が多い
  • 忙しいなかで、ボディメカニクスをいちいち考えながら動くことはできない

その方は「よほど慣れた人でなければ、実際の現場で使いこなすのは難しい」と話していました。

これは、ボディメカニクスの理論が間違っているという話ではありません。決まった形を覚えても、その形をそのまま使えない場面が多いということです。

現場では条件が毎回違う

ボディメカニクスは、条件が変わると使い方も変わる

ボディメカニクスでは、次のような考え方がよく使われます。

基本となる考え方 現場で意識すること
支える面を広くする 足の位置を調整して安定しやすくする
相手や物に近づく 腕を伸ばしたまま支えない
重心を低くする 必要に応じて膝を曲げる
大きな筋肉を使う 腕や腰だけに頼らない
てこの原理を使う 小さな力で動かせる位置を探す
体重移動を使う 腕力だけで押したり引いたりしない
体を安定させる 無理な前かがみやひねりを減らす
急に動かない 相手と動きを合わせる

どれも合理的な考え方です。ただし、相手が立てるのか、足に力を入れられるのか、合図に合わせられるのかによって使い方は変わります。

ベッドや車椅子の位置を自由に変えられないこともあります。複数人で介助できるときもあれば、一人で対応しなければならない場面もあります。

現場では、8つの原則を順番に再現するのではなく、その場で使えるものを選びながら動くことになります。ここが、研修で分かることと現場で使えることの違いです。

先に体軸を作ると、普通の動きから変えられる

イス軸法で体軸ができると、ボディメカニクスを一つずつ意識しなくても、余計な力みのない自然な動きがしやすくなります。

つまり、ボディメカニクスの形を完璧に再現するためだけに体軸を作るのではありません。まず体軸を作ることで、普段どおりに立つ、かがむ、手を伸ばす、相手を支えるといった動きそのものを、体に負担の少ない動きへ変えていきます。

そこにボディメカニクスや古武術の体の使い方のような、身体操作や合理的な動きを加えることで、さらに負担を減らすこともできます。

順番としては、次のように考えると分かりやすいでしょう。

  1. イス軸法で体軸を作る
  2. 余計な力みのない自然な動きがしやすい状態にする
  3. 普通に動くときの体の負担を減らす
  4. 必要な場面では、ボディメカニクスや職場で習った介助方法を加える

体軸とボディメカニクスは、どちらか一方を選ぶものではありません。体軸を土台にして、すでに習った知識や技術を必要な場面で使います。

毎回条件が違う移乗介助ほど、決まった手順だけでは対応しにくい

ベッドから車椅子への移乗一つをとっても、相手の状態は同じではありません。

  • 自分で立てる人
  • 手すりがあれば立てる人
  • 立ち上がりの途中で膝の力が抜ける人
  • 体を前に倒すことが難しい人
  • 合図を理解して一緒に動ける人
  • 介助者との体格差が大きい人

さらに、ベッドの高さ、車椅子を置ける位置、手すりや福祉用具の有無、介助に入れる人数も違います。

移乗方法は、相手の状態と職場で定められた介助方法に合わせる必要があります。「車椅子を何度に置く」「どこを持って何回の合図で動かす」といった一律の手順だけでは対応できません。

決まった体勢を作れないときでも、先に体軸を作っておけば、余計な力を入れずに動きやすくなります。そのうえで、その場で使えるボディメカニクスや介助技術を組み合わせます。

イス軸法のやり方は3ステップ

イス軸法の基本動作は次の3つです。

  1. イスに座ってリラックス
  2. お辞儀をしながら腰を浮かせる
  3. ゆっくり起き上がる

イス軸法の詳しいやり方はこちら

イス軸法で体軸を作ってから動く

介助の前や仕事を始める前に行い、その後に立つ、歩く、かがむといった普段の動きをしてみてください。

イスから立ち上がる動きで痛みが出る場合は、イス軸法を行わないでください。痛みが出なくなるまでは治療を優先してください。

忙しい現場では、考える前に体の準備をしておく

介助中に「足を広げて、膝を曲げて、相手に近づいて」と考えている余裕がない場面はあります。

イス軸法は、ボディメカニクスの手順を増やすためのものではありません。仕事の前に体軸を作り、普通に動いたときに余計な力が入りにくい状態を作るためのものです。

そのうえで、相手や環境に合わせて、ボディメカニクスや職場で習った介助方法を使います。習った知識を捨てるのではなく、使える場面で無理なく使うための土台を先に作ります。

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参考資料

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